序文にかえて
パリを皮切りに、アメリカ、ロンドン、そしてスイス等、国外が人生の半分以上になりました。多様な人々や文化や言葉に晒されるのがごく当たり前の日常。その中で色々なことを思ったり考えたりします。音楽と文学と哲学とお酒が、たぶん一番好きなことですが、昨今の国内外の状況には、いつまでもapoliticalでいられるはずもなく、ここでもときどき政治のことを書いたりします。
最新刊 「パリ妄想食堂」(角川文庫) 近著 「神話 フランス女」(小学館) 「難民と生きる」(新日本出版社) 「旅に出たナツメヤシ」)(KADOKAWA) 執筆依頼、その他、お問い合わせはmnagasakaアットマークbluewin.chまで カテゴリ
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2007年 05月 03日
宣伝会議という会社から出ている主に編集関係者を読者対象とした月刊誌「編集会議」の6月号の巻頭特集は
「ただいま増加中! ママ編集長」 というもの。 副題には「仕事も家庭も子育ても、みんな大事!」とある。 実はこの特集の中に、なぜか私も紛れ込んで取材されているので、ご興味のある方はどうぞ。 それはさておき、この特集記事によれば、なんでも最近は「ママ編集者」が業界では増加中なんだそうで、かつての「仕事と母の二者択一」という構図は、影が薄くなり、代わって、仕事も生活も両立させる「ワークバランス」という考え方が浸透しつつあるとか。そこに登場する女性編集者のみなさんは、それぞれの働き方で、自分のワークバランスを築き、そして口を揃えて「仕事と子供、どちらが欠けても自分はダメだと思う」と答えている。ふーむ、なるほど・・・。 ところで今回の特集記事を眺めていてふと思ったのは、子育てはどこか「編集」の仕事に通じるものがある、ということ。著者やモデルやカメラマン、デザイナーといった、ときに「曲のある人々」を、あるときはおだて、あるときは脅し、あるときはなだめすかせながら、それでもなんとか作業を前に進めていかなければならない。締め切りというプレッシャーに絶えず追われながら、今月号の作業をしつつ、来月号の企画を同時進行で温め、そして広告部との兼ね合いに気をつかい、お金の計算もできなきゃいけない。忍耐と体力と、そして創造力と想像力。プラス、無数の雑用をこなしていくプラグマティズム。 そうやって苦労して作り上げた「作品」は、だが、必ずしも自分の思い通りの出来とは限らない。 なんだ、子供と一緒じゃん、と、つくづく思う。 記事中でも触れられているが、私自身は、20代後半でパリに移住していなかったら、たぶん子供が欲しいなどとは思わなかっただろう。当時私が身を置いていた環境では、そういう発想は生まれようがなかったのだ。けれど、時は移り、最近の日本は、私が住んでいた頃の日本とはずいぶん様変わりした。少子化の大騒ぎとは矛盾するようだが、子育てを取り巻く環境も、ほんの少しずつは改善されているように思う。 「母親業」について、私自身がずっと抱いてきた葛藤とか逡巡については、またいつか機会をあらためたいが、楽しさや発見といったプラスの側面と、大変さや徒労感といったマイナスの側面をプラスマイナスしたとしたら、やはり、プラスかな、とはいえると思う。 「母親」のポジションをオフィシャルな場で声を大にして語ったりすると、いまだに「プロフェッショナルな領域」では、ちょっと後ろめたかったりするし、実際、「母」を無邪気に嬉しそうに語ろうものなら、それに対するバッシングが、保守系おじさんの側からも、また、フェミニズム系の側からも、そして「子供が欲しくても授からない人々」の側からも間違いなく飛んでくる。これまで私が子供のことについてあまり語ったり書いたりしてこなかったことの裏には、実は、こうした風潮に対するひるみとか遠慮みたいなものが絶対にあったと思う。 いや、ことはオフィシャルな場だけには限らない。ごく親しい友人や知人の間ですら、相手に子供がいない場合、私はこれまで「こども」をネタにすることは滅多にしなかった。「人の子の話なんか聞いたっておもしろくもなんともないだろう」という卑屈な気持ち、あるいは「自慢してるみたいに聞こえたらいやだし」という、妙な気遣い。そして「子供のことしか話題がないのか」と思われるのもなんだか不本意だし、というこれまた妙な見栄というか自尊心というか・・・。 「編集会議」の特集記事に触れて、そんなことをいろいろ考え反省したりもした。そろそろ自分に課してきた無意識上のタブー解禁に踏み切ってもいいかな、とちょっと思ってみたりもした。というわけで、今後はこのブログ上でも、ときどき「こども」のこと、書いちゃおかな、と、そんなことを口にするはしから気恥ずかしい。それが私という人間である。
by michikonagasaka
| 2007-05-03 05:44
| こども
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