序文にかえて
パリを皮切りに、アメリカ、ロンドン、そしてスイス等、国外が人生の半分以上になりました。多様な人々や文化や言葉に晒されるのがごく当たり前の日常。その中で色々なことを思ったり考えたりします。音楽と文学と哲学とお酒が、たぶん一番好きなことですが、昨今の国内外の状況には、いつまでもapoliticalでいられるはずもなく、ここでもときどき政治のことを書いたりします。
最新刊 「パリ妄想食堂」(角川文庫) 近著 「神話 フランス女」(小学館) 「難民と生きる」(新日本出版社) 「旅に出たナツメヤシ」)(KADOKAWA) 執筆依頼、その他、お問い合わせはmnagasakaアットマークbluewin.chまで カテゴリ
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2008年 05月 08日
ファッションにちょっとでも興味のある方であれば、すでにお気づきかとは思うが、ここしばらく、世間は激しく「インド」流行りである。 何年かに一度の割合で、インド風のスタイルが軽く流行る、というのは、これまでのごく普通の流れなのだが、今年のインドブームは、そうしたone of them 的な、西洋人の好むエスニック・アイテムの一つの枠をややはみ出る勢い。エルメスがシーズン毎に発行しているカタログは一冊まるごとインドだったし、カルティエのジュエリーも今年はインド風がメイン。ボッテガ・ベネタはインドへの出店第一号を大々的に祝っていたし、世界中のファッション雑誌も「インドテイスト」ファッションの特集を競うようにして組んでいる。 うーん、これってちょっとデジャヴュかも・・・・・と、私の記憶は遠い80年代にワープする。 あの頃は、ヨージ・ヤマモトとかレイ・カワクボ、そしてケンゾーなどがパリコレの第一線で脚光を浴びていただけでなく、そういえば、おフランス・ブランドたちも、なぜか口裏合わせたかのように一斉に「ジャポン」風をデザインに取り入れた時期があった。そして、当の日本人である(そして消費者でもある)私は、まあ、いってみれば、そうした傾向に対して、なんとなく困惑していたのだった。 当時、たしかエルメスのスカーフは3万円くらいだったと思うが、そこにフジヤマゲイシャ的な絵柄がデザインされていたら、普通、日本人は引くでしょう。有名クチュリエがテロテロのだらしない着物スタイルのドレスを発表したら、普通、「それってキッチュすぎ!?」と反応するでしょう。せっかくのヨーロッパブランドが、妙なジャポニスムをかかげて擦り寄ってきたら、いくら当時の日本がバブルの頂点にあったからといって、普通は「そう来るのなら、今回はパスかな」と思ってお財布の紐を締めるでしょう。 昨今のインドものにも、どこかそうしたノリを感じるのだ。そう、景気がイケイケになった巨大マーケットが目の前に開けると、どうもその市場のご機嫌取りをするような動きが出てくる。これはなにもファッション業界だけに限った現象ではないけれど、わかりやすいお客さんグループがそこにいて、そしてトレンドがビジュアルに大々的にプレゼンされるから、ことのほかファッション分野ではそうした傾向が目に付くという仕組みになっている。 ご機嫌取りのつもりでも、当の本人は、このような動きに対しては案外クールというか、いや、逆に、戸惑いや違和感を覚えたりするもの。なのに西洋人、全然わかってないぞ、また間違えちゃったぞ・・・・と、そんなふうに感じるのは、やはり私が「自虐的で卑屈なニッポンジン」だからなのか。これがたとえば、海外で同じアジア人として出会ったときに、妙に自信満々にみえる(ような気がする)中国とかインドの方々の場合、逆に、(本当に相手の思惑どおり)自尊心をくすぐられたりするのだろうか。 上記のエルメスのスカーフに、たとえばタージマハールとか象とか、といった模様がプリントされていたら、インドのお客さんは喜んでこれを買うだろうか・・・?
by michikonagasaka
| 2008-05-08 20:28
| 考えずにはいられない
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