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序文にかえて
パリを皮切りに、アメリカ、ロンドン、そしてスイス等、国外が人生の半分以上になりました。多様な人々や文化や言葉に晒されるのがごく当たり前の日常。その中で色々なことを思ったり考えたりします。音楽と文学と哲学とお酒が、たぶん一番好きなことですが、昨今の国内外の状況には、いつまでもapoliticalでいられるはずもなく、ここでもときどき政治のことを書いたりします。
最新刊 「パリ妄想食堂」(角川文庫) 近著 「神話 フランス女」(小学館) 「難民と生きる」(新日本出版社) 「旅に出たナツメヤシ」)(KADOKAWA) 執筆依頼、その他、お問い合わせはmnagasakaアットマークbluewin.chまで カテゴリ
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2009年 10月 05日
![]() ![]() スイスの自宅のお風呂が、地元の雑誌に紹介された。 なんのことはない、「ニッポンのお風呂をつくったヤツがいる」という噂がどこからか伝わって、ある日、某インテリア雑誌から取材の申し込みが舞い込んだのだった。 国外で日本式のお風呂をつくるのは実はこれが二回目。そもそも「日本式お風呂」というものの仕組みや、入浴の方法がわかっていない建築家相手に、ことを説明するところから作業ははじまるわけだが、当然、こちらも素人なので、イメージ先行の説明になりがちで、実際面でのノウハウに関してはやはり我ながら詰めが甘い。ここが日本であったなら、そんな素人の「夢物語」を、技術的な現実にうま~く翻訳してくれる建築家なり業者なりがあれこれ軌道修正して助けてくれるところだろうが、それがかなわないのがこういうプロジェクトを日本の外でやる難しさだ。 今回は、なんだかんだで三人目の建築家でやっと納得のいくプロセスをスタートさせることができ、結論からいえば、結果はまずまずの出来。第一回目〔プロヴァンスの家)のときの失敗点を教訓に、使い勝手もずいぶん進歩した。 打ち合わせの段階では、あれこれ写真をみせたり、絵をかいたり、言葉を尽くして説明したり、と、私もけっこう頑張った。そのあたりのことが、この記事中でも触れられているが、いかんせん、インタビューがドイツ語だったため、私の語学力不足がたたり、あるいは先方の早とちりが災いし、記事には数箇所、事実上の誤りがあったが、まあ、それはいいこととしよう。 建築の分野ではかなりイケてるスイス。とりわけドイツ語圏は、ファッションや食は全然ふるわないけれど、建築に関しては、絶対にフランス語圏に大きく差をつけてリードしており、うちのお風呂場にみられるような、「古い器の中に、モダンなものをとりいれていく」エステティックというのだろうか、そういった分野にはみるべきものが多い。我が家は築100年以上の古い家だが、そこに今回は、木(ひのき)と石(これは地元でとれる石にこだわった)、そしてメタル。この三つの素材に限定。無駄を一切はぶきながら、古い家の窓枠や天井といった部分はあえてそのまま残した。よく、日本の家屋、それも高級な物件においてもいまだに散見されるスタンダードなお風呂アイテム(たとば、水道の蛇口とか、洗面台、収納の棚、シャワーの器具から照明、電気のスイッチにいたるまで)というものには、帰国のたびにクビをかしげることが多く、「どうして、こう、こだわりなく、チープなプラスチック素材をつかったりしちゃうんだろうか」と疑問に思うことしきり。おそらくはヨーロッパに長く住んでいるせいで、素材や形に対するかなり禁欲的な、ある意味で一種の宗教的ともいえる「こだわり」がすっかり身についてしまった。こうしたこだわりというのは、残念ながら、なかなか後戻りできないもので、妥協をするとあとで苦しむのは自分、ということも私にはよ~くわかっている。 と、そんなわけで、今回は、なるべく「てきと~に流す」という誘惑に負けないよう、私も踏ん張った。もちろん予算の都合もあって、希望が全部かなうということは当然あり得ないが、それでも、まあまあ頑張った。そしてその結果がこのお風呂場なのだった。 家の中を見渡せば、ほかにも大々的に変えちゃいたい箇所は山のようにある。許せない箇所も少なくない。でも、とりあえずは、目をつむって暮らしている。今回は、この住まいにしばらくとどまることになりそうなので、まあ時間をかけて少しずつ、理想と現実のギャップを埋めていくこととしよう。家は単なる箱ではなく、そこに住む人のための生きた場。その人がたどってきた人生、家族のあり方、ライフステージのどのへんにいるのか、といったことが、そこには全部、詰まっている。まずはお風呂からはじめた今回の家づくり。この家そのものがもつ「キャラクター」と、住む人の「キャラクター」がせめぎあって、いい感じのシナジーがじわじわと湧き出てくる。そんなふうに家とつきあっていけたらいいな、と思っている。 ・・・とかいっちゃって、もしかして、これ、一挙に大改築がかなわぬ「経済的事情」を自分にカモフラージュするためのきれいごとの詭弁だったりして・・・?
by michikonagasaka
| 2009-10-05 06:05
| 身辺雑記
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