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序文にかえて
パリを皮切りに、アメリカ、ロンドン、そしてスイス等、国外が人生の半分以上になりました。多様な人々や文化や言葉に晒されるのがごく当たり前の日常。その中で色々なことを思ったり考えたりします。音楽と文学と哲学とお酒が、たぶん一番好きなことですが、昨今の国内外の状況には、いつまでもapoliticalでいられるはずもなく、ここでもときどき政治のことを書いたりします。
最新刊 「パリ妄想食堂」(角川文庫) 近著 「神話 フランス女」(小学館) 「難民と生きる」(新日本出版社) 「旅に出たナツメヤシ」)(KADOKAWA) 執筆依頼、その他、お問い合わせはmnagasakaアットマークbluewin.chまで カテゴリ
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2011年 02月 28日
この世でもっとも「自分の思う通りにならない」もの。それは子供。
そう実感しつつ、かれこれ16年ほど母親業をやっているので、友人Aさんが何気なく口にした次の言葉を前に、私は一瞬、固まってしまったが、その反面、実は内心、ちょっと羨ましかったりもした。成績優秀、スポーツ万能、その上、気だても優しく社交的な兄。美人でスポーツ大得意、特に幼少時からプライベートコーチについて頑張っているテニスは、国際大会にまで出場するほどのレベルという妹。こうした子供たちの母であるAさんは、ある日、 「私は子供は自分の作品だと思ってる」 と確かに口にしたのだった。 私には逆立ちしても吐けない台詞である。 アメリカで今、大ベストセラーになっている本にエイミー・チュアの「Battle Hymn of the Tiger Mother」というすごい教育ママ本がある。中国系アメリカ人エイミーは、ご本人イエール大学ロースクール教授で、娘を二人(17歳と14歳)持つ母なのだが、その娘たち(二人とも超優秀らしい)に彼女が施したスパルタ教育法というのがこの本の内容。アメリカでは、アジア系人口の学業や音楽などにおける「優秀さ」が大きな七不思議の一つになっているらしく、「いったいどうやったらあんな優秀な子供たちが育つのかしら」と、怖いものみたさと羨ましさ入り交じった気分で、(主に白人の)親たちが、この本に殺到した。そして一様に「し、し、信じられない!!」と驚愕。そして「やっぱりここまでやらないとだめなのか」と落ち込んだり、「でも、やっぱり私は子供を尊重する子育てでいくしかないわ」と決意を新たにしたり、と読後の反応も悲喜こもごもだったらしい。読者だけではない、マスコミでも大きくとりあげられ、今やエイミーのチャイニーズメソッドは、アメリカ式の「その子なりのよいところを見つけ」「子供の意思を尊重し」「自由な創造力を励まし」そして「ポジティブな評価をたっっぷり注ぐ」メソッドのアンチテーゼとして、賛否両論、とにかく大きな話題になっているらしい。 著作の中でも触れられているが、エイミーさんが娘たちに決して許さなかったこと、それは • attend a sleepover (友だちの家にお泊りにいく) • have a playdate (友だちと遊ぶ約束をする) • be in a school play (学校の劇に参加する) • complain about not being in a school play (劇に参加できないことについて不満をいう) • watch TV or play computer games (テレビを見る、またはコンピューターゲームで遊ぶ) • choose their own extracurricular activities (やりたい課外活動を自分で選ぶ) • get any grade less than an A (Aより悪い成績をとる←つまりオール5以外許されない) • not be the No. 1 student in every subject except gym and drama (体育と演劇以外の科目で一番になれないこと) • play any instrument other than the piano or violin (ピアノかバイオリン以外の楽器を弾くこと) • not play the piano or violin.(ピアノかバイオリンを弾かないこと) これ、うちに当てはめたとしたら、もちろん全滅。「べからず」のすべてを、私は自分の子供たちに「いいんじゃない?」といって、どんどん許してきた(というか、そもそも「許す」というほどのものでもないし)。 それに、ま、ま、万が一、私がこのルールを子供たちに課そうとしたところで、そんなものに素直に従うことなど、はなから考えられない。親の思う通りになんて、絶対に絶対にならない。それが私の子供たちの本質そのものなのだから。 一応、私だってアジアンペアレントの端くれではあるけれど、アジアンがみんなエイミー流を実行できるわけがない。でも、たぶんアジアンペアレントの端くれであるからこそ、自分自身が心の奥底に、もしかして隠し持っているかもしれぬ「ある種の野心」というか、「理想」、いや「幻想」、つまり「自分の作品としての子供をデザインしていきたい」という願望を100パーセント否定することも、逆に欺瞞なんじゃないか、とこっそり思ってみたりもする。 そして、現実に向き合う。 ああ、やっぱり子供は親の作品なんかじゃない(少なくとも私のところの場合は)、子は別個の人格だ、と、ひどくひどく痛感する。 スキー休暇に骨折をしてしまった息子は、全治少なくとも6週間という宣告を受け、現在、ギプス、そして痛みと共に大変不自由な日常生活を送らなければいけない状況になっている。身の回りのことが自分でできず、当然スポーツは一切禁止、学校のバッグすら自分で持てないような具合だから、家族(というか主に私)があれこれサポートすることになる。男だから、まず痛みに弱い(これ、絶対そうでしょ、一般論として)。性格的にこらえ性、かなり低い。その上、ただでさえ、大学受験や国際バカロレアのためのストレスフルな時期に、こんな目に遭っちまって、世の中不公平だという忸怩たる思いが彼にはある。そんなわけで、本人、それはもう地球がひっくりかえったような大騒ぎで、家族中をストレスのどん底に突き落としてくれる。彼のフラストレーションは、もちろん私もよ〜くわかる。でもなぁ、息子よ、もう少し我慢とか辛抱とかってできないもんかね〜と、私は苛つく。エイミーだったら、こんな弱虫、こんな根性なし、到底許されませんよ、とため息の一つも二つも出てくる。でもそこをぐっとこらえて、ナイチンゲールをやっている。体のケアだけでなく、心のケアのほう、これがものすご〜く大変でややこしい。 切れそうになるところを(というか事実、切れることも当然ある)、ぐっと飲み込み、なだめ、励まし、ギプスの着脱を手伝い、学校のバッグを用意し、車で毎日送り迎え。 チャリティは家庭からーーユニセフ親善大使をつとめていた晩年のオードリー・ヘップバーンの言葉。身にしみるなあ・・・・・。
by michikonagasaka
| 2011-02-28 21:59
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