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序文にかえて
パリを皮切りに、アメリカ、ロンドン、そしてスイス等、国外が人生の半分以上になりました。多様な人々や文化や言葉に晒されるのがごく当たり前の日常。その中で色々なことを思ったり考えたりします。音楽と文学と哲学とお酒が、たぶん一番好きなことですが、昨今の国内外の状況には、いつまでもapoliticalでいられるはずもなく、ここでもときどき政治のことを書いたりします。
最新刊 「パリ妄想食堂」(角川文庫) 近著 「神話 フランス女」(小学館) 「難民と生きる」(新日本出版社) 「旅に出たナツメヤシ」)(KADOKAWA) 執筆依頼、その他、お問い合わせはmnagasakaアットマークbluewin.chまで カテゴリ
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2011年 10月 19日
友人おすすめのブログにこんな記事が。
ト書き部分まで方言に訳されているのと会話部分のみの訳とが混在しているが、まあそれはご愛嬌ということで、これを読んでいたら、今は(はるか)昔、入社1年目の会社での他愛ない会話のことを思い出してしまった。 大学を卒業して東京の出版社に就職した私を待ち受けていたのは、「新人(←私)への質問攻め」体制の諸先輩方。「京都から来た新人」「国立大学出の新人」と、まるで人を博物館の展示物でもあるかのような好奇の目で眺めつつ、けれどとっても暖かく迎え入れてくださった諸先輩方のお一人、当時、三島から新幹線通勤をしていた働くお母さん、Tさんが、ある日、「あのさ、前から聞きたかったんだけど」との前置きつきで、こんな質問を。 「ナガサカさんてさ、たくさん言葉がしゃべれるんですって?」 「言葉ですか? あ、まあ、3つくらいなんとか」 「へ〜、すごいわね。トライリンガル! で、その内訳は?」 そこで私は受け狙いでもなんでもなく、限りなく真摯に誠実にお答えした。 「名古屋弁と、関西弁、そして標準語。この3つならなんとかいけます。でもけっこう間違えるんですけどね」 一瞬の沈黙をはさみ、Tさん爆笑。 「やだ〜、方言のこといってんじゃないわよぉ!!!」 なにしろ、英語ひとつちゃんと話せなかった普通の日本人新人社員だった私に、Tさんがまさか「外国語」のことを話していただなんて、どうして想像できようか。 ところで、外国暮らしをしていると、北は北海道から南は沖縄まで、ものすごく「全国区」的にいろいろな地方出身の日本人に遭遇する。東京にいたら、とてもここまでのバラエティは望めなかっただろうとつくづく思うのだが、外国住まいの彼ら同胞人たち、一方で現地の言葉を話しながら、他方、日本語となると出身地方言をそのまま貫いている人、相手によって標準語(もどき)と方言を使い分けている人などタイプはさまざま、またその貫き度の違いもさまざまで、これがなかなかおもしろい。 その中の一人、京都出身のSさんは、ごてごての京都弁、とまではいかないにしても、イントネーションは完全にウェスト風で一貫している。イギリス人のご主人とは英語で話し、そしてドイツ語もそこそこ習得している彼女だが、話し言葉だけでなく、どうも書き言葉にも時折(本人、気づいてない)関西表現が混じるのである。 「難儀なことで」 「長いめの睡眠」 そして「おられる」敬語の多用。(私の憶測では、「〜しはる」の気分が「おられる」に流れ込んでいる現象) 関西弁もまあまあわかる私としては、はは〜ん、出とる出とる、と、ひそかに気づき、そしてそれが一般に公表する文書だったりする場合は、何気なく標準仕様に書き換えたりしている。 話が飛ぶが、関西といえば、京都の大学で受けた英語の授業では非常にぶったまげた。なぜなら、先生をはじめ、多くの学生の英語が、マジで関西弁みたいに聞こえたからである。その感じを文章で伝えるのは難しい(というか不可能)のだが、なんというか、あの関西抑揚がそこかしこに全開状態で、高校で耳にして来た英語(こちらはもしかしたら名古屋弁なまりということもあったのかもしれないが)とは、似ても似つかぬものだったのだ。あの頃、世間では漫才ブームというのがあったが、せっかくのシェークスピアもこれじゃあ、漫才やんか、と、台詞が神妙であればあるほど、関西弁的抑揚とのギャップがおかしく、ひそかに大受けして楽しませてもらったものだった。(ちなみにシェークスピアの講読をしていた教授、オックスフォードだかどこやらの大学でも勉強した人だったみたいだが、そこでもこの発音でやっとったんやろか、とかいろいろ想像させてもらって楽しかった。) ついでに思い出したが、古典ギリシャ語の先生は、大阪人だったから、ソフォクレスとかアリストテレスなんかが大阪弁のノリに聞こえるのも、これまた一興だったっけ。 世界中の人がそれぞれ勝手なアクセント(あ、これも日本語ではこうはいわないか。「発音」という意味で使ってます)で英語をしゃべっている時代、私のまわりにも10人いたら10とおりのアクセント、というほど、そのバリエーションはエンドレスである。これ、英語圏に住んでいないせいで、より「国際語としての英語」を耳にする機会が多いからなのであろうが、関西弁なまりの英語も、今となってはそのバリエーションのひとつとして、まったく問題なく受け入れられる私だが、18歳の、まだ外の世界というものを知らなかった私にはやはりショックだった。 日本語内部のトライリンガルでなく、日本語の外のトライリンガルなどということ、それこそ天の上の出来事のようにあの頃は思っていた。外国語が話せる人の頭の中ってどうなってるんだろう、と不思議でたまらなかった。今だからいえる、別に頭の中、どうもなってやしませんよ、と。 よくある質問「で、夢は何語で見るんですか?」に対しては、「さあ、よく覚えてないですけど、そのときによっていろいろなんじゃないですかね」 こうして日本語で文章を書いているときでも、頭の中では「Oh my God」とか「C'est pas vrai〜」などとつぶやいているし、日本語のつもりで書いている原稿を、校正さんに「この部分、意味不明です」と指摘され、ああ、そうか、確かに日本語ではそういわないんだっけ、と、無意識のうちに自分が他の言語の表現を日本語にいいかえて使っていたりしたことに気づく、なんてことも、ときどきある(上で使った「アクセント」とか)。トライリンガルなんていったって、つまりそれは、3つの言葉がきちんと互いに区別されて併存しているなどというニートな状況では決してなく、オーバーラップしたり、入れ替わったり、ぽっかりと空白があったり、と、かなりカオティックな状態で渾然一体となっているだけのこと。 それにしても本日はまとまりのないカオティックな文だった。(反省)
by michikonagasaka
| 2011-10-19 18:00
| 混沌マルチリンガル
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