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序文にかえて
パリを皮切りに、アメリカ、ロンドン、そしてスイス等、国外が人生の半分以上になりました。多様な人々や文化や言葉に晒されるのがごく当たり前の日常。その中で色々なことを思ったり考えたりします。音楽と文学と哲学とお酒が、たぶん一番好きなことですが、昨今の国内外の状況には、いつまでもapoliticalでいられるはずもなく、ここでもときどき政治のことを書いたりします。
最新刊 「パリ妄想食堂」(角川文庫) 近著 「神話 フランス女」(小学館) 「難民と生きる」(新日本出版社) 「旅に出たナツメヤシ」)(KADOKAWA) 執筆依頼、その他、お問い合わせはmnagasakaアットマークbluewin.chまで カテゴリ
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2012年 06月 04日
日経トレンディaround the worldへ新記事をアップした。今回は、このところご新規&改装が相次ぐスイスのスパ事情をリポート。今さらスパでもないか、という気がしないでもなかったが、確かにスイスのスパには、世界標準とはちょっと異なる“スイススタイル”というものが、とりわけ建築において顕著ではあるので、これを機会に一度さらっておこうと思ったからだ。
記事でも触れているように、ペーター・ズントー(私はドイツ語の発音に近く、ペーターと表記したかったが、日本ではピーターと表記されることも多いらしく、今回は校正さんの指摘に文句をいわず、ピーターのままにしてある)がグリゾン州の山奥に90年代に建てたテルメ・ヴァルスが、いわばスイスのスパ業界のバイブル的リファレンス。ヴァルス以来、スパはまず第一に眉目麗しくなければならない、それも半端な眉目麗しさではなく、一流アーキテクトを起用し、石や木などの天然素材をシャープに使いこなし、なおかつ自然との共生を意識したエコな美しさでなければいけない、という点が、なんというか金科玉条になっているのだ。さらにいえば、スパといえどもそれはいわゆる「女子供」を満足させる美意識では全然駄目で、あくまで男っぽく(と、これはかなり乱暴で無批判な形容詞だけれど)、かっこ良く上質でなければ話にならない。 私も世界のあちこちで、ぽつりぽつりとスパを体験したけれど、こと眉目麗しさという点において、スイスにまさる場所はない、というのが当面の結論。昔からある湯治場としての施設の中には相変わらずダサいものがたくさんあるけれど(そして、そういう場もあっていい、ともちろん思うけれど)、近頃、新しく作られたところ、または鳴りもの入りで改装されたところに限っていえば、清潔度やスパ施設そのものの充実度も文句なく、全体においてかなりの高レベルといえると思う。 ただ、これはいかにも惜しまれることなのだが、いかんせんサービスが悪いところが多い。日頃から苦々しく思うことだけれど、スイスという国は接客のサービスが一般にかなり悪い。客が待つ間、平気で友だちと電話してる店員とか、笑顔ゼロどころか怒った顔で接客するウェイターとか、閉店20分前なのにがちゃがちゃ戸締まりを始めて、客を入れてくれない店とか、バーコードでピっとやったあと、すごい勢いで商品を投げつける(卵が割れるってば)スーパーのレジのおばさんとか、とにかく「感じ悪い」接客シーンは日常のいたるところで後を絶たない。「和光のサービスを」、とはいわないけれど、せめてもう少し、こう感じよくできないもんかね、と、毎日のように思う。そして、その弱点はスパにおいても残念ながら見事に露呈されていることを、私は自ら体を張ってスパ体験を積んだ経験からよ〜く知っている。 日本のマニュアル通りで融通効かないサービスも、またアメリカの表面的な大げさ作り笑いサービスもいかがなものかと思うけれど、いや、嘘でもいいから笑ってくれ、とスイスでは思う。間接照明が美しいお洒落な癒しの空間で、レセプショニストがぷりぷり怒っていたら、マッサージ師がぶっきらぼうだったら、やはり体も心もほぐれにくいではありませんか。素敵なラウンジで飲み物を注文したのにちっとも持って来てくれないどころか、やっと来たかと思ったら、テーブルにガッチャンと音をたてて置かれたのであれば、あ〜あとため息が出るではありませんか。 と、私一人が苦言を呈しても、一国の文化や習慣が変わってくれるはずもなく、ならばそこは目をつむるしかないのかな、と煮え切らない思いだ。 「山国の民だからしょうがない」 スイスの国民性を評して、フランス人の友人が吐き捨てるようにいった言葉が印象的だった。いわく、山国の民は閉鎖的で非社交的、よくいえばシャイだから、接客業にはそもそも向いていないのだ、と。地形や歴史的産業形態が、その地域の人々のメンタリティーに及ぼす多大な影響、というのはまんざらはずれてもいないらしい。 さらにこの場を借りてスイス・スパへの不満を発表するならば、湯温がやや低めなこと、そしてところ構わず二人の世界に没頭しているカップルがあまりに多いことの二点を追加で挙げることができるだろうか。40度は欲しいところ、平均は38度くらいなので、湯上がりがぞくっと寒い点はいかんともしがたいし、右を向いても左を向いても過熱気味に二人の世界に没頭している人々がいると、やはりそこはなんとも落ち着かないものである。なんというか、ほ乳類丸出しで、人間的なもうちょっと高度な官能(あえて待つ、あえてじらせる、その過程こそが色っぽい、みたいな)をこの人たち、わかんないのかな、と、これは余計なお世話ながら、やはりある意味、文化的な差異を強烈に感じて、私はなんだか鼻白むのである。
by michikonagasaka
| 2012-06-04 04:49
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