序文にかえて
パリを皮切りに、アメリカ、ロンドン、そしてスイス等、国外が人生の半分以上になりました。多様な人々や文化や言葉に晒されるのがごく当たり前の日常。その中で色々なことを思ったり考えたりします。音楽と文学と哲学とお酒が、たぶん一番好きなことですが、昨今の国内外の状況には、いつまでもapoliticalでいられるはずもなく、ここでもときどき政治のことを書いたりします。
最新刊 「パリ妄想食堂」(角川文庫) 近著 「神話 フランス女」(小学館) 「難民と生きる」(新日本出版社) 「旅に出たナツメヤシ」)(KADOKAWA) 執筆依頼、その他、お問い合わせはmnagasakaアットマークbluewin.chまで カテゴリ
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2015年 09月 19日
日本の若い世代の抗議活動や政治意識について書かれたガ―ディアン紙の記事に続いて、安保法可決からわずか2時間でオンラインになったスイス(フランス語圏)の新聞の記事(2015年9月19日付)を訳出。元記事はこちらです。一部、意味を汲み取って多少、意訳になっているところもあります。
さよなら、日本の平和主義 日本の参議院は金曜の夜更け、戦争放棄の終結を可決。歴史のページが繰られた 日本の国会は、今週後半、取っ組み合いのシーンを経験した。普通なら中国のプロパガンダ機関が喜びそうな風景だ。民主主義が必ずや陥ることだ、すなわち「カオス」と北京なら宣言するだろう。つまり、西洋から輸入された政府の形態など、アジアの人々にはしょせん合っていないのだと。こうした光景は台湾の国会では日常茶飯事だ。そこでは政治的討論は白熱するものだからである。だが、東京ではそうではない。この激突騒ぎに際し、だが中国の政権は、日本の国会の大人しさを馬鹿にする代わりに、安倍晋三氏に国民の意思表明に耳を傾けよというだろう。 この国会の決定は歴史に残ることだろう。なぜなら、日本はこれによって、憲法に保証された平和主義のページをめくることになるだろうから。保守派の総理大臣の衝動のもと、日本は外交の道具としての戦争放棄を放棄することになる。その変化をなんとか食い止めようとしたがために、野党の議員の一部は、木曜、参院特別委員会におけるこの法改正の採決を妨害しようとしたのだ。そして無数の国民たちは連日、広島の廃墟から「二度と戦争はすまい」という願いと共に再建につとめてきた人心へのこの裏切りを糾弾するために、国会前でデモをし続けてきた。 アメリカ占領軍の主導により、1947年につくられた日本の憲法は、1930年よりアジア各国を侵略してきた日本が戦争を放棄し、海外への派兵を禁じることを規定している。唯一、自衛のためのみの軍隊「自衛隊」が許されているが、その自衛隊には現在、24万の隊員がおり、装備も世界一級である。だが安倍総理によれば戦後70年がたち、この世界は変わった。北朝鮮は核兵器を所有し、中国はアグレッシブになっている。日本はこれまで米国によって保障されてきた近海の安全の相応負担分を受け持つべきであると。ワシントンは拍手する。紛争があれば、同盟国日本は今後、国境を越えて、アメリカに支援を提供することになるのだから。 これは激変である。日本はこれまで、戦争を放棄してきた地球上の唯一の大国だった。この平和主義は、軍事力による解決を少しずつ断念しようという方向に向かってきたこの世界にとって、いわばアヴァンギャルド的なモデルとして通用してきた。だがそのユートピアも崩れ去った。中国はそこに日本の軍国主義の再来、ファシズムの台頭をみることであろう。そのような短絡な見立ては馬鹿げているかもしれないが、それが、戦後、真の意味での和解に至ったとは言い難い両国間の昨今の緊張の高まりを示すものであることは確かである。 事情を承知の上で安倍晋三に国会での圧倒的多数を与えた国民のマジョリティにとって、それは日本が「普通の国」になる権利を行使することを意味していた。つまり、国外で捕虜となった同国人を救うために軍隊を送ることができる国、軍事同盟に参加する国、つまり、他の国々と同じように戦争のできる国、という意味である。中国は反対するだろうが、中国の好戦的な態度こそが、今回の大転回の主な理由だったのだ。 軍事的な理屈で成り立っているこの世界の秩序の中で、日本がその仲間入りをしたくなるといって誰が責めることができるだろうか。軍隊放棄をしているのは、その大半が米国の傘下頼みの、わずか30ほどの小国のみなのだ。ああ、それにしても、日本のこの平和主義放棄は、世界が軍事頼みに再び夢中になり、最悪の事態を予想させる昨今の不確かな情勢の中での一つの流れということになるのだろうか。
by michikonagasaka
| 2015-09-19 06:36
| 考えずにはいられない
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