113人に一人が難民という世界に私たちは暮らしています。遠いどこかで難民が生まれるという現実の背景には、戦争、紛争、独裁政権といった「現地のできごと」だけでなく、政治的経済的軍事的に直接的間接的に関わりのあるすべての国々の思惑や行為、そして無関心があるというように私は思ってきました。つまりこの世界に「難民とは無関係」と言い切れる国などほとんどないといってもいいくらい。そうした認識をもとに、シリア等からの大量の難民を受け入れてきたドイツで、難民たち、および彼らを支援する市民たちに取材した聞き書きの書です。
「社会派」の分野での単行本執筆は初めてで難儀しましたが(笑)、なんとか形にすることができてほっとしています。
「初めて」といえばもう一つ、自分の本の発売日にたまたま日本に居合わせたことも実は初めてでした。大型書店に自著が平積みになっている様は、照れくさいような、他人事でもあるような。周りにはところどころ、著者手書きの「色紙」がぶら下がっていて「◯◯書店さんへ」で始まる自筆の挨拶文とサインが書かれていることにも、今回、初めて気が付きました。
なにしろ初めての「社会派」系ですから、力不足で至らぬ点も多々あると思います。ご一読の上、忌憚なきご意見、ご批判などいただければ幸甚です。よろしくお願いいたします。