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序文にかえて
パリを皮切りに、アメリカ、ロンドン、そしてスイス等、国外が人生の半分以上になりました。多様な人々や文化や言葉に晒されるのがごく当たり前の日常。その中で色々なことを思ったり考えたりします。音楽と文学と哲学とお酒が、たぶん一番好きなことですが、昨今の国内外の状況には、いつまでもapoliticalでいられるはずもなく、ここでもときどき政治のことを書いたりします。
最新刊 「パリ妄想食堂」(角川文庫) 近著 「神話 フランス女」(小学館) 「難民と生きる」(新日本出版社) 「旅に出たナツメヤシ」)(KADOKAWA) 執筆依頼、その他、お問い合わせはmnagasakaアットマークbluewin.chまで カテゴリ
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2008年 09月 11日
9月9日、パリの展示会会場、タクシー乗り場にて。
歩き詰めの一日を終え、そのまま空港へ向かうべくタクシーの順番待ちをしていた。 列の客を車へと誘導するのは、赤いお仕着せのヴォワチュリエ(車係り)二人。やっと私の番になったとき、そのうちの一人、年のころは30代半ば、いや40くらいだろうか、その彼が目を大きく見開き、私に向かって 「Vous êtes toute seule?」(お一人ですか) と尋ねる。 「そうですけど」 「本当に、お一人ですか」 「ええ、一人ですよ」 「そんな馬鹿な! あなたが、たったお一人だなんて」 「・・・・・(笑み)」 「セパノルマル、セパノルマル(あり得ない、あり得ない)」 ヴォワチュリエのムッシュは両腕を大きく広げ(“オーマイガッ”)、 首を左右に振り(”信じられない”)、 そして私の荷物をタクシーのトランクに入れながらなおも続けた。 「今日は7時で上がりですから、もしよろしければ僕が喜んでお送りしますよ・・・・」 まったくこれだからね・・・。 もちろん全然深い意味はなく、単なる社交辞令的なものには違いないのだが、一人でタクシーを待つ女をみれば、こんな戯言の一つも言わずにはいられない人たち。しかし、そうとはわかっていながら、疲労困憊の身にこうした言葉は決して不快なものではなく、フェロモン度がゼロコンマイチくらい上昇する気もして、なんだか心と体によさそう・・・などと思う私。 パリに出張するたびに、「なんだ、そういえば私って女だったんじゃん」と思い出させてくれるのは、実はこんな他愛のない出来事なのだ。 「またこの次ね~」 そういって車に乗り込んだ私に、 「それは残念!」 と、これまたいかにも大げさな身振りつきで悲嘆にくれるムッシュー。 私も彼も、それぞれの「役」を楽しく演じ、そうして小劇場の一こまがあっという間に終わり、また次の幕へと移っていく。 人生は劇場だ!―――ほんのささやかで取るに足らないシーンを演じただけなのに、その瞬間、私は確実に楽しいし、軽やかなエスプリの中に浮かぶ感じを心地よいものととらえている。 (それはまた、普段のスイスでの暮らしがこの点ではいかにひからびているか、ということに改めて思い至ってギクリとする瞬間でもあるのだが・・・。)
by michikonagasaka
| 2008-09-11 13:24
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