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序文にかえて
パリを皮切りに、アメリカ、ロンドン、そしてスイス等、国外が人生の半分以上になりました。多様な人々や文化や言葉に晒されるのがごく当たり前の日常。その中で色々なことを思ったり考えたりします。音楽と文学と哲学とお酒が、たぶん一番好きなことですが、昨今の国内外の状況には、いつまでもapoliticalでいられるはずもなく、ここでもときどき政治のことを書いたりします。
最新刊 「パリ妄想食堂」(角川文庫) 近著 「神話 フランス女」(小学館) 「難民と生きる」(新日本出版社) 「旅に出たナツメヤシ」)(KADOKAWA) 執筆依頼、その他、お問い合わせはmnagasakaアットマークbluewin.chまで カテゴリ
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2008年 12月 14日
チューリッヒに越して以来、ジュネーブで続けたピアノのお稽古もぷつりと途切れてしまい、日々の雑事と仕事に追われ、ろくにピアノのふたも開けない日々。もちろん新しい先生を見つける目処も立っていなければ、練習の時間を編み出す算段も立たぬまま、今年もまた暮れていこうとしている。
そんな中、きのうは久しぶりにピアノに触れる時間に恵まれた。といってもなんのことはない、娘のチェロの発表会の伴奏をつとめただけのことなのだが、これがことのほか、楽しかった。短い曲をたった二曲。それだけだったが、発表会の会場はチューリッヒの旧市街にある古い建物の地下。石造りの高い天井のそのがらんとした空間は、そこに点々と灯されたろうそくの明かりとあいまって、なんとなく「バラの名」(ウムベルト・エコ原作でショーン・コネリー主演の映画にもなったあの話)の世界を連想させ、お子さまのご愛嬌コンサートも、なにやら荘厳な雰囲気に。そんな場の空気にすっかり感化され(影響されやすい人間だ、我ながら)、今朝、二日酔い(きのうは遅くまで友人宅でクリスマス・パーティだった)の頭痛にも負けず、突然思い立ったのは「ヘンデルを弾くこと」だった。 といっても私の薄っぺらなピアノ人生の中、弾いたことのあるヘンデルの曲といえばたった一曲。ジュネーブ時代にさらった組曲の一つ、その中のアルマンドのみ。その楽譜を探し出してきて、ポリフォニーの各パートの「歌ごころ」などに心を配る余裕は全然なく、ただただ、楽譜どおりになんとか弾くのが精一杯ではあったが、とにかく一時間くらい、何度も何度も、たった二ページのその曲を繰り返し弾いて、今ほっと一息ついたところ。 相変わらず「こういってみたい」と「こう聞こえる」との隔たりは限りなく大きいわけだが、それでも充分に楽しく、そうだ、この楽しみをまた再開しなくちゃもったいない、と思い立った。 2008年は店の開店やら家の工事やらで怒涛の一年だったが、来年は、定期的なお稽古は無理にしても、ときには仕事モードをカラッと切り替えて、ピアノに向かってみよう。はからずも、うちの近所の古い一軒家には、どうやら音大生が数人で下宿しているらしく、私が犬の散歩に出かけると、いつもその館からは難しそうな曲が響いてくるのが聞こえる。i-podをそのときばかりは耳から外し、少し歩く速度を落として、そのピアノの音を聞くのがなんとはなしに心待ちにする習慣になっている。心待ちにする習慣とはこれでなかなか馬鹿にできないもので、いつも聞こえるはずのその音が聞こえないとき、私は大変損をしたような気持ちになり、馬鹿みたいにそのへんを無駄に一周して、ほのかな期待と共にもう一度、その館の前を歩いてみたりすることも。 寒い中、研鑽を積む学生さんの身の上をあれこれ想像することも、犬の散歩の楽しいおまけとなって私の毎日の暮らしに定着する営みとなった今、このなまったわが指にもふたたび働いてもらうこととしよう。
by michikonagasaka
| 2008-12-14 19:49
| 身辺雑記
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