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序文にかえて
パリを皮切りに、アメリカ、ロンドン、そしてスイス等、国外が人生の半分以上になりました。多様な人々や文化や言葉に晒されるのがごく当たり前の日常。その中で色々なことを思ったり考えたりします。音楽と文学と哲学とお酒が、たぶん一番好きなことですが、昨今の国内外の状況には、いつまでもapoliticalでいられるはずもなく、ここでもときどき政治のことを書いたりします。
最新刊 「パリ妄想食堂」(角川文庫) 近著 「神話 フランス女」(小学館) 「難民と生きる」(新日本出版社) 「旅に出たナツメヤシ」)(KADOKAWA) 執筆依頼、その他、お問い合わせはmnagasakaアットマークbluewin.chまで カテゴリ
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2009年 06月 04日
友人から、こんな本をいただいた。
![]() 原本はフィンランド語の大型写真集。NHKスペシャル「世界里山紀行・フィンランド・森・妖精との対話」の取材・撮影のためにフィンランド入りした柴田昌平さん(ドキュメンタリー映画「ひめゆり」の監督でもあります)が、ヘルシンキの空港でたまたま手にとって即座に魅せられ、やがてそれは番組の内容や方向にも大きな影響を与える存在になった、そういう本なのだという。 これはその日本語訳。ただし、日本語版は大型写真集ではなく、多くの人が手に取りやすいようにとコンパクトな版型にしてある。 セロファンの袋にぴったりと包まれて我が家に届けられたこの本。封を開けて第一ページを開けたとたん、ぷーんと飛び出してきた匂いに、まずは強い印象を受けた。それはほかでもない、印刷屋さんの匂いだった。大昔、大日本印刷の工場見学にいったとき、あるいは神田あたりの町の小さな写植屋さんにいったとき、やはりあたりはこんな匂いに包まれていた。本屋さんで本を手にとるとき、あるいはアマゾンで買った本が届いたとき、こんな匂いは絶対しない。なんなんだろう、この「鮮度のよさ(?)」は。 インクと紙の匂いがこんなにも強烈だったのには、実はそれなりの理由がある。 この本の出版をライフワークとして位置づけ、大手出版社での実現が難しいと判断するや、思い切って自費出版をする決意を固めた柴田さんは、西東京の小さなオフィスで、友人・知人の助けを借りながら、まさに手作業で翻訳・編集作業に取り組んだ。映像のほうは長年プロとして携わってきた柴田さんも、出版となるとまったくの初めてで、ご苦労も多かったときく。印刷屋さんからやっとあがってきた「ほやほや」が、EMSで48時間後にスイスに到着。その翌日に、それを私は手にしていたのだ。 それは多くの、静謐だけれどとても雄弁な森の写真と、こなれた翻訳のテキストからなっている。森の精霊への畏れ、木をめぐる不思議な風習、木と人との深遠な関係を表す神話や詩。フィンランドに根付く森と人との神秘的かつ日常的なきずなの物語は、私たちの一人ひとりが大自然(小自然でもいいけど)を前にしたときに抱く、あの不思議な畏怖の念へと同じ線上でつながっている。そう、少なくとも私は、この美しい本を、どこか遠い国のお話としてではなく、自分にとっても親しみのあるある種の感覚のほうへ強引に引き寄せることで受けとめていた。 小さな本から立ち上った二つの強烈な匂い。それは人の手作業の象徴である印刷の匂い、そして深遠な森が瞬時にしてワープしてくるような木の精の匂いだった。 ものを作る人、鋭敏な五感で世界に向かう人の気迫にこんな形で触れられるのは、やはり幸せな時間だ。 「フィンランド・森の精霊と旅をする」(プロダクション・エイシア)
by michikonagasaka
| 2009-06-04 00:32
| 本
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