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序文にかえて
パリを皮切りに、アメリカ、ロンドン、そしてスイス等、国外が人生の半分以上になりました。多様な人々や文化や言葉に晒されるのがごく当たり前の日常。その中で色々なことを思ったり考えたりします。音楽と文学と哲学とお酒が、たぶん一番好きなことですが、昨今の国内外の状況には、いつまでもapoliticalでいられるはずもなく、ここでもときどき政治のことを書いたりします。
最新刊 「パリ妄想食堂」(角川文庫) 近著 「神話 フランス女」(小学館) 「難民と生きる」(新日本出版社) 「旅に出たナツメヤシ」)(KADOKAWA) 執筆依頼、その他、お問い合わせはmnagasakaアットマークbluewin.chまで カテゴリ
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2009年 06月 27日
一昨晩、友だちとご飯を食べていて、どうした経緯かファラ・フォーセットの話になった。
顔を揃えた友だちの世代から、当然のことながら「チャーリーズ・エンジェル、かっこよかったよね~」というノスタルジー系の展開になり、そして「でも、彼女もいま、闘病で大変なんだよね」というところで、一同、「あ~あ」と、以来過ぎた時の長さにそれぞれの思いを馳せながらため息。 で、一夜明けたらいきなりマイケルジャクソンの訃報が飛び込んできた。その影ですっかりニュースバリューが落ちてしまって気の毒だったが、なんとファラもとうとう亡くなってしまった(ほんとに気の毒なくらいの片隅記事だった)。 ああ、マイケル・ジャクソン。きっと同世代の人ならば、ほとんどすべての人がその人なりの「マイケル・ジャクソンと私」ストーリーを心に秘めていることだろう。 プルーストのマドレーヌのように、マイケル・ジャクソン訃報ニュースもまた、ものすごい力で私を過去のある一点に連れ戻した。ときは1980年代末。場所はパリ。 パリ13区の、パリとよぶにはあまりに情緒にも雰囲気にも乏しいそのエリアで、私の夢のパリ生活はスタートしたのだが、ナシオンという、これまた夢も希望もない無機質な名前の地下鉄の駅から、私は毎朝、律儀に学校へ通っていた。ソニア・リキエルの黒いキルティングのトートバッグ(そういうものが当時あった)に、教科書やノート、辞書などを詰め込み、まだ暗いうちに下宿を出た。朝なのに暗くてあたりに電気がついている、というただそのことだけでも、なんとなく気が滅入ってしまう、それほどに、私はいろいろなことに不慣れだった。カルトオランジュと呼ばれていた定期券で改札を通って、薄汚い地下鉄に乗り込む毎日。そんな私の耳には、いつもウォークマン(!)のイヤフォンがあって、それが灰色のパリの町から私を束の間、遮断する役割を果たしていた。 ウォークマンから流れる曲は、来る日も来る日もまったく同じ。それがなぜかマイケル・ジャクソンだったのだ。 あのとき、地下鉄のホームに行くために駆け上がった階段(ホームは地下鉄だけど地上にあったので、階段を駆け上がったのだ)のイメージは、マイケル・ジャクソンの歌と見事にシンクロしている。なんというアルバムだったかすら覚えていないが、それを自分で、あるいは誰かがカセットにダビング(!)したものを、なぜか私はパリ移住のさいに後生大事に持ってきて、それが毎日の通学のテーマソングになっていたのだった。とりわけ、その中で今もとっさに口をついてでる曲があって、それにあわせて、左足、右足、と順に階段を登っていく(なぜか私は大昔から、一拍目はぜったい左足でないと気持ち悪い性分だし、そんなわけで階段は登るも降りるも、絶対第一歩は左足からはじめる)。その身体感覚は、今でもこわいくらいに鮮やかに記憶している。 マイケルさん(と、今日の報道ではなぜか「さんづけ」だったのが妙だった)の訃報に触れ、ああ、あの曲、あの曲、でもあれって、何の曲なんだっけ??? と急にタイトルが知りたくなった。で、you-tubeに行って調べてみたところ、それは Don't Stop 'Til You Get Enough という曲だったことが判明。 それにしてもなんでパリで、マイケル・ジャクソン??? なんといっても生まれてはじめての外国暮らし。今では偉そうにしている私も、当時は本当に毎日のすべての瞬間がおどおど、どきどきで塗り固められていた。乱暴に人を押しのけるメトロの乗客とか、車内にぬーっと登場する大きな犬とか、ストで突然止まっちゃう交通機関とか、そういうもろもろの外敵(と思われた)に対し、よろい固めをすることはサバイバルの第一条件で、それが私の場合、マイケル・ジャクソンだったのだ。 耳にイヤフォンをあてて、そこからファンキーな英語の歌が聞こえている間は、フランス的な気難しさやややこしさから束の間逃げていられるような、そんな思いもあったと思う。メトロがSt. Placide の駅に到着し、そこから階段を登って地上に出ると、私はマイケルとさよならをして、学校への道を急いだ。道路の喧騒、人々の話し声からカラスの鳴き声まで、急に外界の音が聞こえてきて、そうして私は「えい、やっ」と、外の世界に飛び込んでいった。 追)同じカセットに入っていて、プルーストのマドレーヌ効果のある曲は、ほかに I can't help it Rock with you ・・・・と、ここまでリサーチした結果、それらがいずれもOff the wallというアルバムに入ってるものということが判明。どこか(あるとしたら実家?)にこれのLPを、私、持ってるんだろうか??
by michikonagasaka
| 2009-06-27 19:07
| 考えずにはいられない
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